みなさん、美味しい水ってどんなのか知ってますか?
「なんかよくわかんないけど軟水が日本人的に美味しいんじゃね?」
って感じですよね。
正解!!
ってかね、わかんないですよ。そんなの人によって違いますよね。
「富士山の〇〇の天然水が美味い!」
とか書いてあっても、そんなの人によって違うんですよね。
じゃあ何を信じれば・・・?って感じですよね。
お教えしましょう。調査を信じれば良いです。
たくさんの人に飲んでもらって、みんなが美味いって言ったら大体美味いんです。
個人が言うより集団が言ってる方が信頼できます。
さて、今回学術誌よりその調査データを持ってきました。
ということで「水道水のミネラル成分および物性によるグループ化と味の評価に関与する要因の抽出」と言う文献を紹介します。
※池晶子, 山本紗由美, 川瀬雅也:水道水のミネラル成分および物性によるグループ化と味の評価に関与する要因の抽出, 日本調理科学会誌, vol.49, No.1, 74〜81, (2016)
結論から言うと、味の評価の高い水はCa濃度やSi濃度は低い傾向にあったようです!
- 水処理分野で修士号
- 天然水の研究開発
- 公害防止管理者水質第1種取得
そんな水のスペシャリストな筆者が正確に文献を読んでわかりやすく解説するこの企画!
第2弾やっていきましょう!
水道水の味を評価するための材料
論文とかの文献って最初に条件とか準備したものとか書くのが普通です。前回紹介したときにはさらっと飛ばしましたが、今回の文献は前提条件がすごく大事なのでお付き合いください。
今回、北海道から沖縄に至るまで全国20箇所の水道局で販売・配布されている水道水をもらっています。
水道水がまずいと感じる原因は配水管のサビや塩素なのですが、
販売されているものは配水管は通ってないですし、塩素も加えていないか加熱殺菌の工程で除去されています。
これで、採水地や物性値のみで丁寧に比較することができますね。
大体の都道府県で1つのサンプルずつですが、大阪だけ2サンプル用意されています。
これはこの研究を行った羽衣国際大学が大阪にあるからでしょう。こういう裏事情を想像するのもなかなか楽しかったりします。
大阪の水といえば淀川ですね。
大阪人だけでなく京都人もみんな淀川にお世話になっているのですが、お世話になりすぎて「琵琶湖から大阪湾に出るまで人の体内を3回通過する」と言われています。
これ、大学院時代に教授がよく言っていました。計算したらマジでそうなるらしいです。
一方で、大阪の排水処理技術は他国でも有名で、世界1位と言われています。
体内3回通ってても美味しく飲めるのは水処理技術が優秀だからなんですね。
ちょっと脱線しました。次にいきましょう!
水道水の味を評価する人たちと実施条件
誰が美味しさ評価するの??ってところです。
今回大学が実験しているので、学生やオープンキャンパスに来た人たちが評価しています。
3日間に分けて評価してもらいましたが、それぞれの日程で44〜79名集まっているので統計的にも十分ですね。
3日間に分けた理由は「20種類も水飲んでたら頭おかしなるわ!!」とのこと(相当要約)
水の温度も25℃で統一したり、比較対象のための水も用意して各日で評価軸がぶれないようになっていて、準備は完璧だと思います。
どんな水が美味しいの?結果発表〜〜!!!
採取した水の特徴や特性、実際に飲んでもらった点数にそれぞれ関係あるかな?って調べました。
- 美味しさの高評価 or 低評価
- 取水源(河川・ダムなど)
- 地上水・地下水の別
- 硬度
- ミネラル成分(Na、Ca、K、Mg、Si)の濃度
そうすると意外なことがわかってきました。
味が高評価のものには地表水が多かった
美味しい!って言ったものの多くは河川水やダム水などの地表を流れる水なことが分かったんですよね。
まず成分で分類分けしてみて、味評価が高評価だった成分の範囲を決めてみるとほとんど地表水のやつやんけ!ってなったんですって。
で、この成分の範囲っていうのが重要で、ミネラルが少ない水の方が好まれたみたいなんですよね。
ということはつまり???
硬度が低いほど美味しい
そうですね!硬度の低い水が美味しいということです!
硬度はCa(カルシウム)とMg(マグネシウム)から算出されるんですが(前回の記事参照)、このCaとMg、そしてミネラルの一種であるSi(ケイ素)が低いほど美味しい水という傾向が出たようです。
つまりは成分表とかをみるときこの3種類が低いやつを選んでおけば問題ないってことですね。
他の実験でCaの多い方が美味しいって考えている人もいますが、それは1980年代の文献です。
令和の今とは味覚嗜好が全然違う可能性もあるので今回紹介した文献(2016年)の方が支持できるかなと個人的には思っています。
水の美味しさに地域差はない
北海道って聞くとラーメンが美味しく感じますよね。
それと同じで富山って聞くと雪解け水のイメージで・・・とかあるかもしれませんが、今回地域差で美味しさが変わることはありませんでした。
あくまでも成分が大事なわけですね!
微量成分は味に影響しない
今回、水道水で含有量の高いミネラル5つ(Na、Ca、K、Mg、Si)について分析していますが、より微量なミネラル成分含め、16元素について分析を行っています!!
その結果、微量なミネラル成分については味にほとんど影響しないことが分かったんですね。
まとめ
今回は水道水について評価をした文献を紹介しました。
- Ca、Mg、Siの低さが水の美味しさの秘訣!
- 美味しさに採水地域は関係ない!
- 微量なミネラル成分は味に寄与しにくい!
ということでしたね。
扱っているのは水道水ですが、天然水も同じ傾向だと考えられます。
こういう嗜好に関する調査は海外で同じように実施されたものと全く違う結果になっていたりして面白いんですよね。
我々は日本の水を飲んで暮らしているので軟水が好きな傾向になったんでしょうかね。
この文献から言えるのは水で考えるのは硬度だけということだと思います。
僕と一緒にAmazonで安い水買いましょう。
今日はこんなところで!
じゃあね!