どうもチャダです。チャダのほとんどは水分でできています。
今回は料理に使う水について解説します。
水処理分野で修士号を取り公害防止管理者水質一種持ちで水の研究開発という、天然水の申し子的な僕が実際の文献を基に解説していきます。
今回は「ミネラルウォーター類の使用が昆布だし汁に及ぼす影響」という文献を紹介しましょう。
※鈴野弘子, 豊田美穂, 石田裕:ミネラルウォーター類の使用が昆布だし汁に及ぼす影響, 日本食生活学会誌, 2007 年 18 巻 4 号 p. 376-381
結論から言うと「硬水で出汁を取るな!ってか料理大体向かん!!」ってことでした。
これを解説を最後まで読むと料理を科学できるようになりますよ!
目次
硬水とか軟水とかってなあに?
まず硬度という言葉の意味を理解しなければなりません。
水の中にはいろんなミネラルと呼ばれる物質が入っています。これが水の味を決める大事なものです。
そのミネラルの中でもCa(カルシウム)とMg(マグネシウム)の量から「硬度(mg/L)」というものが算出されます。
硬度を求める式は以下のようなものです
硬度 = Ca×2.5 + Mg×4.0
まあ、カルシウムとマグネシウムの量で決まるってことだけ覚えとけば大丈夫です!
そして、WHOではこの硬度の値が0〜60mg/L未満を「軟水」、60〜120mg/L未満を「中程度の軟水」、120〜180mg/L未満を「硬水」、180mg/L以上を「非常な硬水」と定めています。
非常な硬水 is 何
120mg/Lより下は全部軟水ですがとりあえず日本は軟水なので、100mg/Lあたりで(硬いな・・・)って思っとけば大丈夫です。
硬水について理解したらいよいよ次は
昆布で出汁とってみようぜ!!
え??
昆布は硬水を吸収しにくかった
(なんか鍋食べたくなってきた)
出汁を取る時って乾燥した昆布使いますよね?
で、水に入れると水を吸って、濃縮された旨味がジワジワ出てくる訳です。
つまりは水を吸ってくれないことには出汁は出ないんですよね。
さて、今回僕が読んだ文献の筆者は、9種類の水を使って昆布から出汁を取りました。
なんとなく予想ついたかもしれませんが、硬水は軟水に比べて水分吸収は低い傾向にあったんですよね。
筆者「水の中のミネラルが昆布の中のアルギン酸とくっついて水と喧嘩(不溶化)しちゃった」
とのこと。
ミネラルっていうのは昆布に以外にも食品の中の何かとくっついて溶けにくくすることがあるらしいです。
だから水分を吸収させる系の料理には向いてないね!
つまり
水を使う料理に硬水は向いてないです!!
硬水で出汁を取った昆布だし汁は美味しくない
昆布出汁の美味しさって酸性・中性・アルカリ性の中だと中性がいいらしいです。でも硬水使うと中性じゃなくなっちゃうんだって!不思議!!
これさっき、
「水の中のミネラルが昆布の中のアルギン酸とくっついて水と喧嘩(不溶化)しちゃった」
筆者殿
とか言ってたじゃないですか。
これのせいでミネラルと元々仲良くしてた「炭酸」が離れちゃうらしいです。
これを「遊離」っていうんですけど、炭酸が遊離すると中性から酸性になっちゃうんですよね。
硬水で出汁をとると昆布から変な沈殿が出てくる
アルギン酸って子、大人気なんですよね。実はカルシウムくんがアルギン酸ちゃんのこと好きらしいぜ??
ただ、アルギン酸ちゃんはカルシウムくんとくっつくと沈殿が発生するようで、、、
もちろんカルシウムが多い硬水だとそれが顕著に出てきちゃうんです。
あと、出汁ってサラサラしてる方が良いんですけど、アルギン酸×カルシウムのカップリングは出汁をちょっと粘っとさせちゃうんだと、、、エッチだなあ、、、
ちなみに硬水でお米を炊くとやっぱりカルシウムがお米にくっついちゃうんだって。カルシウム先輩もしかしてDDかな?
ドルオタ(アイドルオタク)用語の“誰でも大好き(Daredemo Daisuki)”の頭文字を取った言葉。
特定のアイドルのみを応援するのではなく、複数のアイドルを掛け持ちで応援しているいわゆる“複数推し”の人を表す。
博愛主義者的な“全推し”のアイドルファンを指す場合もある。
DD(でぃーでぃー)とは? – nunan
硬水で昆布出汁を取ると使うと本来の味が損なわれちゃうかもしれません。
軟水すぎて美味しくなくなることも!
この文献には書かれていなかったので紹介ですが、実は紅茶とかは軟水すぎても良くないと言われています。
10mg/Lぐらいの軟水で淹れると水色は明るくなるんですが、香味も強すぎてバランスが悪いです。
今回も関わってくるのはカルシウムです!出たなDD!!
今度は紅茶中のタンニンっていう物質とくっついちゃいます。
ただ、くっつかなさ過ぎも紅茶らしい風味が出ないんですよね。
実は日本の水道水は硬度の関係上、紅茶の抽出にめちゃくちゃ適しています。
まとめ
今回は「料理に硬水は使いにくい」ということについて、実際の研究事例を交えながら解説しました。
基本的には日本の水道水は衛生的にも硬度的にも優秀です。
普段は気にしないでいいことですが、ちょっとした雑学に使えると思います。
じゃあね!